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彼女のマジンシア
人のためになることというのは、やろうと思ってやるもんではないと思う。
誰かのためになりたいと思ったとき、その心の裏側は真っ白できれいかどうか自問自答したくならないか?
きれいじゃないのにきれいなフリをするのは居心地悪い。
なら自分のためになることをし、
その副産物のような形で誰かのためになっている程度で考えた方が気が楽で良い。

ウィンドウショッピングのついでにあいつが探していたモノを見つけたとか
ルニックを打つときは博打気分を楽しむためであって出来たものはどうでもよく、
そこそこ良い武器があったら友達に無料であげるとか。

すべて自分がやりたいからで、
その理由は決して"相手がうれしがるから"なんてかゆい理由なんかじゃない。
自分が楽しめて自分の得になって、ついでに周りの奴も喜べるなら
いいじゃん程度で十分だと思う。

だから街でエスコートをするときは、妙な気分になる。
こっちはゲートトラベルの練習になるし、お金はもらえるし、
一石二鳥なんて気分でやってるのに、
ありがとう!とか、あなたは慈悲の心を持ち合わせてますねとか言われると
そんなつもりじゃないんだよと言いたくなる。
いい儲け話があるんです!なんてお金で釣ってくるから、
あいつらも金目当てだってわかってるはずなのに、わざとらしいことこの上ない。
いい人のフリをして報酬のお金目当てなんて偽善者を増やすだけじゃないか。

そんなこんなで偽善活動するのにCoveに行った時のこと。
街にいる奴らは自分で動きもしないのに、遠くの街に連れてけとうるさい。
「すいません、いい話があるんです。聞きませんか?」
いろんな奴らが声をかけてくる中で、配達人の女の子に目が留まった。
あごのあたりで切りそろえられた髪に褐色の肌が健康的だが、
それに似合わないような困った表情で大きなバッグを抱えこちらを見ていた。
「なんだい、どうしたんだ?」
こっちもわざとらしく聞いてみる。
どうせどっかに連れてけって話になるのに、あいつらは悲劇のヒロインにでもなったつもりで
どうして行かなきゃいかないかなんて話しを切々としてくる。
「私は実家を出てCoveで働いていました。
小さな村ですが農業も漁業も盛んでしたので、働き口はたくさんあるんです。
娯楽のない村ですからお金も貯まるので、実家に毎月仕送りもしてました。
実家からはあまり連絡は来ませんでしたが、店を切り盛りしてましたので
忙しいのだろうと気にも留めていませんでした」
彼女はバッグから小切手を数枚見せて話を続けた。
「だけど、あるときから仕送りが戻ってくるようになって。
最初は不思議に思ってたのですが、きっと店が上手くいって仕送りも必要なく、
私が働くまでもないんじゃないかなと思ったんです。
だから実家に戻ろうかと思って」
彼女は小切手の1枚の金額を見せてきた。
「3日前からこうやって連れてってくれる人を待ってるのですが、なかなか現れないんです。
もしあなたが連れてってくれるならこの小切手1枚あげます。
どうでしょう?連れて行ってくれませんか?」
3日たっても誰も現れないなんてあるはずが無い。
思いつく理由はただ一つ。
それは、連れて行かないんじゃなくて連れて行けないんだ。
「君はもしかしてマジンシアに行きたいのか?」
彼女はびっくりした顔をして何度もうなずいた。
やっぱりそうか。
今までもきっと連れて行こうと声をかけた奴は出てきたはずなんだ。
でも彼女の話からマジンシアだと気づいて、さりげなく断っていたんだな。
彼女のマジンシアはもうなくて、家族ももうきっとこの世にはいないということは伏せて。
「連れてってくれますよね?ほら、小切手1枚じゃ不満なら2枚、ね?2枚でどうです?」
必死な様子をみると、今まで何度も断られてきたんだろう。
「君はニュースは聞くのか?タウンクライヤーの話とかさ」
早く連れて行ってほしい彼女は、この問いに少し不満を持ったような
少し怪訝な顔をしたが、素直に答えた。
「いいえ、日中は村のはずれで畑を耕してますし、夜はすぐに寝てしまうので」
少し迷った。
彼女に本当のことを言おうか、真実を隠して希望を持たせていたほうがいいのか。

「申し訳ないが、君をマジンシアに送ることは出来ない。
マジンシアは攻められ壊滅状態。家も店ももうなにもないんだ。
君の仕送りが戻ってくるようになったのは、君の家族が…もういないからじゃないかな」
隠すことが彼女のためにいいことだと思うのなら、それこそが本当の偽善に思えたんだ。
彼女は聞こえた言葉が理解できないという風に不思議な顔をしていたが、
徐々に真っ青になっていった。
そして、タウンクライヤーに走りより、叫んでいた。
「マジンシアは、マジンシアはどうなったの!」
その間にスカラブレイに連れて行ってほしいと言う冒険者がいたので、
すぐにCoveを後にした。

今でも彼女にとってどちらがよかったのかはよくわからない。


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ある人の日記を見ていたら、Pub54でエスコートの行き先でマジンシアがなくなるというのを知りました。
きっとNPCたちはかつてのマジンシアはもうないと気づいたんでしょう。

本日瑞穂バザーがあるらしいので、売り子ができればよかったんだけど
バザーには時間的に間に合いません。
残念。
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by kirill_Books | 2008-06-28 19:01 | 綴られたモノ
[読々]バッカーノ!―The Rolling Bootlegs
23日に読んでたのですが、それから引越し&カスタマと続いたのですっかり書くのを忘れていました。
(ちなみにカスタマは全く進んでいません。というか、ほぼ放棄中。良い案が思いつかない)

ライトノベル読んでみたいんだけど、どれもシリーズモノぽくて長くて読む気になれない。
戦記モノ嫌、恋愛モノ嫌で短めで終わる話ってありますか?
という条件の上で某氏がオススメしてくれた本です。


バッカーノ!―The Rolling Bootlegs   成田 良悟


群像劇な話です。
場面が変わるごとに視点が変わったり、時系列が前後したりする。
それを理解するまでに、え?どういうこと?みたいな感じになったかな。

プロローグ的なところとかエピローグ的なところのやり取りの仕方はイメージできるというか、
話に持ってく流れがわかりやすい。
ははーん、そうやって話に持ってくわけね、おけおけって感じになれた。
最後の帽子屋はちょっと都合よすぎない?って感じもしたけど。

群像劇なだけあって、カタカナ名前がいっぱい出てきて、
途中で誰が誰だかわかんなくなったりはしたんだけど、
それぞれ見せ場面を作るのは結構大変だろうに、うまくいってた。

"不老不死"の人がいることを前提としているので、この一冊が大きな意味で
これからのシリーズに続くプロローグ的な役割をするのかなと考えながら読んでた。
タイトルからもわかるように悲観的な雰囲気はなく
不老不死でいること自体は問題ではないという感じを受ける。

不老不死=生きることに疲れちゃったよ。でも死ねないよみたいな人がイメージにある。
ぱっと思いつくのは、人魚シリーズ(高橋留美子)だったりなのだけど。
(人魚の森しか読んだ事ないけど)

まだ1冊しか読んでないので、これからどうなっていくのかわからないけど、
タイトルやシリーズのサブタイトルからしてそれぞれの年代でバカ騒ぎしていくんでしょうね。
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by kirill_Books | 2008-06-28 15:32
お引越し
b0096814_22555735.jpg急に引越ししてみたくなり、とりあえず土地確保しました。
ムーングロウのあの場所は(UO世界でという意味で)今は亡き大切な友人から譲り受けた場所でした。
いつかいなくなってしまうであろう人とは思っていましたがある時急に現実となり、せめて自分の気持ちに整理がつくまではそこに住まわせてもらおうと思い譲り受けた場所でした。
それから約2年たち、ここ数日のうちに色々ありまして引っ越すなら今だという気持ちになりました。

いろんな心境の変化がありましてこのようなことになりましたが、これをポジティブに新しい一歩と考えていければいいなと思います。
などと、真面目なことはここで終わりにして。

私はカスタマイズが大の苦手です。
家なんて豆腐でいいじゃんて考えです。
が、せっかく気持ちも新たに引越ししたのですから、少しは色々やってみようかなと…。
いつまでもカスタマイズが終わらずに本屋を再開できないかもと本気で思う次第です。
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by Kirill_Books | 2008-06-23 23:08 | あの日の出来事
酒を求めて四千里
これはミノックのまふぃ錦の沸く泉の近くで出会ったおじいさんの話です。

おじいさんは横にある椅子のところに座って一人で飲んでいました。
私はたまたまラマに変身したまま、そこを通りがかったのですが
急に声をかけられました。

「こんなところにラマとは珍しい。ちょっとこっちこい」
別に珍しくもなんともないと思うのですが、
何か声をかけるための口実だろうと思ったし、私も特に用事があったわけではなかったので
素直におじいさんとテーブルをはさんで向かいに行ってみました。
「このラマ言葉がわかるのか。なんとも不思議なラマじゃの」
このおじいさん、とぼけてるんでしょうか。
どこまで合わせて話をすればいいのか迷いましたが、とりあえず普通の対応をすることにしました。
ラマの鳴き声ってのもわかりませんし…。
「おじさんここで何してるの?」
「見ればわかるじゃろ、酒をのんどるんじゃ、酒を」
おじいさんの前にあるピッチャーはもうほとんど空になっていました。
「ほら、ラマちょっと汲んできてくれんか」
テーブルにあるピッチャーとは違うものを二つばかり渡されたので
私は素直に汲んできました。
「ここの酒はちと甘いのぉ。でもそれもまたいいもんじゃ」
どこの酒と比べてるのか最初はわかりませんでしたが、
他にぽつぽつと話しているおじいさんの話を聞いているとなんとなくわかってきました。
「おじいさんは各地の酒をこうやって飲み歩いてるんですか?」
そう聞くと、やっとわかってくれたか、とでも言いたそうな顔でニヤリとしながら言いました。
「おうよ。ラマっこ、輝星飲んだことあるか?千鳥美人は?」
聞いたことはあるけど、飲んだことの無い私はおじいさんの言葉に笑って首を振るしかできなかった。
「そうか、そうだよな。ま、他にも存在してることを知ってるだけえらいぞ、ラマっこ」
おじいさんはそうやって笑いながら、千鳥美人はちょっと辛くすっと抜ける感じがいいとか話していました。
全部飲んだわけではないらしいですが、ときどきこうやって探しては飲んでみるのだそうです。
街で大きな声でただで飲める酒の場所教えてくれと叫ぶと、すぐに教えてくれる場合もあれば誰も見向きもせずにしばらくの間そうしていなければならないときもあるそうです。
それぞれ反応も答えも違うし、酒泉があることを知らない人もいるそうです。
ここは街の中にあるのでまだわかりやすく、聞いてすぐに連れてこられたそうです。

「いろんな酒が飲みたい、ただで飲みたい、それだけじゃがいろんな人と出会い、話をして会話が生まれる。
間違った場所にいったり、追いかけられたり死にそうになったり、それもまたいいもんじゃ」
笑いながら話すおじいさんはまたくいっとピッチャーを空にしました。
「また汲んできましょうか?」
そう聞くとおじいさんは、汲みにいく私を楽しそうに見ていました。
「強くなくても冒険はできる。そうじゃ、今度じじいの酒を尋ねて四千里なんて本でも書こうかの。よぼよぼじいさんに見えるかもしれんが、まあその通りじゃが、いろんなことは体験してきてるでな」
饒舌に話すおじいさんに笑って答えるしかできないけれど、決して強くなるだけがいいことじゃないと言いたげな感じは伝わってきた。
何を求めて、そのためにどんな行動をして、どう楽しむのか。
成功だけがいいわけじゃなくて、失敗もあったりして、でもおじいさんがこうやって笑いながら話すってことはきっとどれもがいい思い出になってるんだろう。

「さて、そろそろ行くかのぉ」
おじいさんはそう言って立ち上がった。
「次はどこのお酒を飲みに行くんですか?」
「そうじゃな、千鳥美人の味も忘れられんし、酔建でもいいのぉ」
そう言っておじいさんは私のほうに目を向けた。
「話に付き合ってくれてありがとな、ラマっこ。またな」
そう言うかと思うと、おじいさんはすたすた歩いていってしまった。
さっきまで飲んでふらふらしていた人とは別人のようで、ラマでいた私でもおいつけないほどだった。
すぐに見失ってしまったけれど、おじいさんはきっとまた違う場所で新たな人たちとこうやって話して楽しく笑うんだろう。
おじいさんに聞こえますように。
できるだけ大きな声で私は「またね」と言った。
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by Kirill_Books | 2008-06-21 21:24 | 綴られたモノ
そのときルナの裁縫屋では
ブリタニアには各地方に街があり、そのつくりには特色がある、というのはこの世界に住んでいるものであれば誰でも知ることであろう。
簡単に各街を行き来できても愛着ある街が一つはあり、自ら名乗ることによって出身地の属性を自分につける。
初めて建てた家の近くの街、いつも待ち合わせに使っていた公園のある街、仕事をもらうのに毎日通っていた裁縫屋と鍛冶屋が近いあの街。
いくつか理由はあるが、不便さも良い意味で特徴の一つと思われていた。

さて、ルナの話である。
特徴の無いのがルナの特徴などと言われたこともあるとか、ないとか。
銀行の周りに民が良く利用するであろう店をしぼって配置し、銀行からムーンゲートまで徒歩10秒と反則的な便利さゆえに趣がないといわれる街。
人が多く集まる街の一つだが、その場で話している人はあまり見かけないという、まさに利用するために訪れる街。
世界の変化を見るには人の動向と店の販売価格を見るのがいいと聞くが、ルナではある変化に首をかしげる店員たちがいた。
利用者が多くとも店の狭さから最小人数で運営しなければならず、日々仕事に追われ世界の変化に敏感そうで一番鈍い店員たち。
今回の出来事を不思議そうに語っている店員たちを見つけたので、紹介しよう。

in Clothier's Colors
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by Kirill_Books | 2008-06-17 02:10 | 綴られたモノ
マッフィーン
「マッフィーン!ねぇねぇ、私のマッフィーンはぁ?」
行儀悪く手に持ったフォークでテーブルをバンバン叩きながら変なアクセントで
マフィン、マフィンと叫ぶあの子。
「さっきからうるせえ」
人に焼かせて、自分はテーブルで待つだけなんていい気なもんだ。
「もう少しなんだからおとなしく待てよ」
ケーキやパンを焼くようなかわいらしいことは女の子のやるものだと思ってる男たち、
君らの考えは甘い。
生地をこねるのに力が必要とか、オーブンを開けるのは危険だとか、
火傷したらどうするんだとかとにかくあの子曰く男のほうが都合がいいらしい。
本当かよ。
オーブンの前でパイを焦がしては泣きそうになってたあの子に
美味しいマフィンを食べさせたくて、練習し始めたのが数ヶ月前。
内緒で練習して満足行くものが初めてできたとき、大事に箱にいれてプレゼントしたっけ。
箱を開けたときの驚いた顔、一口食べたときの笑顔。
全部食べ終わったときの幸せそうな顔を見たとき、自分も幸せで心が満たされた。

「は・や・くー!は・や・くー!」
ああ、もううるせえ、うるせえ。
最初は催促されるのもうれしかった、それは認めよう。
自分の作るものを気に入ってくれたんだなって、
数ヶ月かけて覚えたことは意味があったんだと実感できた。
でももともと職人だったわけじゃないし、ちょっとあの子を喜ばせたくて覚えたこと、
そう何度も作ろうなんて思ってなかった。
ただ、一度だけあの子を喜ばせたかったんだ。

なのに、なのに。
「遅いっ!おやつの時間が終わっちゃうよー」
こう毎日作らされる羽目になるとは。
毎日狩りや荒っぽいことをして稼いでたのが、今では毎日粉やオーブンと格闘。
もう戦い方も忘れ始めてきたよ。
こんなおいしいのが毎日食べられたらうれしいな、なんてかわいいこと言ってたあの子が
今では毎日おやつ時間間近になると
作らないという選択肢はないんだぞという勢いで催促してくる。

「ほら、できたぞ」
オーブンから出来立てのマフィンを出す。
冷めてちょっとしっとりしたところがおいしいと思うんだが、
あの子はそのまま熱々を食べるのがお好みらしい。
「おっいしいいいぃっ」
さっきまで怖い顔して催促してたのはどこのどいつだ?と思うような
幸せそうにほおばってる顔を見ると、
もう絶対作ってやんねーと思う気持ちがすーっとなくなっていく。
今度チョコ入れてみようかなとか、バナナやリンゴを入れてもいいかなとか
そんな考えまででてくる始末。

悔しいけど、こんな時間も悪くない…よな。

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ワールドイズマインを聴きながらぼーっとしていたら、
「彼女がご飯を目の前にうれしそうにしたり、おいしいって笑顔で言ってくれたり、
本当に満足そうな顔でおなかいっぱいって言うのを聞くたびに、
おごってやってこっちも幸せな気分になる。
あいつのためならいくらでも稼いでもっとおいしいものおごってやろうって気になれる」
そんなことを言ってる人がいたのをふと思い出してなんとなく書いてみました。
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by Kirill_Books | 2008-06-06 21:39 | 綴られたモノ